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[コラム] アトピーにステロイドを使うのは「悪」なのか?

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根本治療を進めるための“戦略的ステロイド活用”という考え方 ―

「アトピーにステロイドを使うのは良いのか、悪いのか?」
このテーマは、長いあいだ議論が繰り返されてきました。

一般的にステロイド外用薬は対症療法と位置づけられ、根本的な解決にはならないと言われます。また、長期間・大量使用による副作用が懸念されることから、「脱ステロイド」を推奨する医療機関や専門家も存在します。

確かに、ステロイドは“その場しのぎ”の側面があり、漫然と使い続けることは推奨できません。しかし一方で、一時的に炎症を鎮めるという大きなメリットがあります。
このメリットを“適切な目的のために限定的に活かす”という視点は、しばしば見落とされがちです。


根本的治療には、どうしても「揺り戻し」が起こりうる

当院では、アトピーの背景にある腸内環境、慢性炎症、毒素・有害金属の蓄積、バリア機能低下などの「根本要因」にアプローチする機能性医学的な治療を行っています。

しかし、根本治療にはひとつの特徴があります。
それは一時的に症状が悪化する場合があるということです。

具体的には……

腸内の悪玉菌やカビが死滅するときの反応

除菌・抗カビ治療を行うと、死滅した微生物が一時的に炎症反応を誘発することがあります。

蓄積していた毒素・有害金属を解毒する際の反応

デトックスの過程で、一過性に皮膚症状が強くなるケースがあります。

これらは治療が「効いている」サインとも言えますが、症状が悪化すると治療の継続が難しくなる患者さんもいます。


そのような局面でステロイドをどう使うのか?

この“揺り戻し”が強すぎると、根本治療そのものが進められなくなります。

そこで重要になるのが、目的を限定したステロイド使用です。

  • 目的なく漫然と使う → ×
  • 根本治療を継続するために、必要最小限で炎症を整える → ○

このような使い方は、一般的な「対症療法として抑え込む」使い方とはまったく意味が異なります

ステロイドは“根本治療を邪魔する存在”ではなく、
根本治療を進めるための補助ツールとして位置づけることができます。


ステロイドは「悪」ではなく、使い方次第で治療の味方になる

ステロイドは強力な薬です。
だからこそ、目的もなく使うべきではありません。
しかし、必要な場面で、適切な量・期間・強さを選び、計画的に使うことで、

  • 疲弊した皮膚を守る
  • 不必要な苦痛を軽減する
  • 根本治療を継続可能にする

といったメリットを得られます。

ステロイドを使うべきタイミングと、使うべきでないタイミング。
その両方を正しく見極めるのが、医療の役割です。


まとめ ― 「ステロイドか?脱ステか?」という二択から自由になる

アトピー治療は、白黒の二択で語れるほど単純ではありません。

  • ステロイドは悪だから全面禁止
  • 逆に、何も考えずに塗り続ける

どちらも極端です。

大切なのは、
ステロイドのメリットとデメリットを“目的に応じて”適切に使い分けること
そして、
アトピーという慢性疾患の根本要因にしっかりアプローチすること
です。

当院では、悩まされてきた炎症を一時的に落ち着かせながら、
同時に「なぜ炎症が起きているのか?」に丁寧に向き合い、
長期的に負担の少ない治療計画を設計しています。

ステロイドは悪ではありません。
ただの“選択肢のひとつ”です。
そして、正しく使えば、根本治療を前に進める大事な味方になり得ます。



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当院の診療・検査について

当院の診療や検査については、下記から詳細をご確認ください。当院では、外出が難しい方、遠方の方のために遠隔診療も行っております。

初診までに当院の治療方針について動画をあらかじめご覧いただき、不明な点は診察時に詳しく説明いたします。
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