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[コラム] 慢性疲労症候群とミトコンドリア機能障害① 〜検査で予測可能になりつつあるミトコンドリアの機能低下〜

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慢性疲労症状をきたす原因不明の病態として「慢性疲労症候群」という疾患があります。
日常生活に支障が出るほどの慢性的な疲労感を感じる病態ですが、通常の検査ではなかなか診断がつかず、はっきりとした原因は不明とされてきました。診断基準も、「他の疾患を除外した原因不明の慢性疲労症状をきたす疾患」となっています。
明らかな検査方法も治療法もなく、根本的に治ることが難しい疾患です。しかし、「原因のわからない慢性疲労症状」に苦しんでいる患者さんが多くいるのは事実です。

ミトコンドリア機能障害

このような慢性疲労症状を起こす原因不明の病態について、「ミトコンドリア機能障害」という立場から捉えることができます。
ミトコンドリアとは、細胞の中にある「細胞内小器官」です。私たちが食べた食物は、胃腸で消化吸収され、栄養素にまで分解されて、血液中に吸収されます。栄養素は体の隅々の細胞にまで運ばれます。では、細胞内に取り込まれた栄養素はミトコンドリアでエネルギーに変換されます。つまり、ミトコンドリアというのは細胞の中の「エンジン」の役割をしているのです。ミトコンドリアが機能しないと、細胞は「エネルギー不足」でちゃんと機能しないのです。



実は、慢性疲労をともなう症状は、このミトコンドリア機能の低下が原因であるケースがあります。

・ビタミン・ミネラルが欠乏している
・腸管内にカンジダ菌が増殖し、有機酸が体内に増えている
・重金属や環境汚染物質などが蓄積している

このような状態になると、エンジンの役割をしているミトコンドリアの中のクエン酸回路(TCAサイクル)がうまく機能しなくなり、ミトコンドリア機能の低下を招いてしまいます。腸内環境が悪化して、カンジダ菌という真菌(カビ)が増殖すると、このカンジダ菌からはミトコンドリア機能を妨げるような毒素が放出されます。また、重金属や環境汚染物質は、「生体異物」とも言われ、ミトコンドリア機能を障害することがわかっています。ちょうど精密機械の歯車にほこりなどが溜まって、目詰まりをした状態であると考えると分かりやすいでしょう。



「ミトコンドリア」という名前自体は、高校の生物でも習いますし、医学部でもその詳しい機能について生理学や分子生物学で学びます。ところが、いざ臨床となると、ミトコンドリア機能が人体に重要ということが全く忘れ去られ、診断や治療に有効活用されていないという現状がありました。

ミトコンドリア機能を客観判断できる検査

しかしそれは、臨床の最前線に立つ医師の怠慢ではなく、ミトコンドリア機能を客観的に判断できる、信頼のおける検査手段が確立されていなかったためです。

最近ではその事情も変わりつつあります。「有機酸尿検査」が可能になり、それを用いることによって、間接的にではあるものの、ある程度のミトコンドリアの評価ができるようになってきました。そして、治療によりミトコンドリア機能が回復しているのかどうかを確認することもできるのです。



有機酸尿検査では、さまざまな尿中の代謝産物を測定し、身体の中の化学反応が正常に働いているのかどうかが調べられます。まだ日本国内では行えない検査ですが、アメリカの検査会社に依頼することは可能です。

以下、実際の検査結果を見ながら解説します。



クエン酸回路では、
クエン酸→アコニチン酸(アコニット酸)→オキソグルタル酸→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸(→クエン酸)というサイクルで回転しています。

検査結果を見ると、オキソグルタル酸以降の有機酸が高値を示しています。これはリンゴ酸→クエン酸に至る経路が障害されているため、その手前の有機酸物質が蓄積していることを示しています。つまり、高度のミトコンドリア機能障害があるということを示しています。
このように有機酸検査でミトコンドリア機能の状態を客観的・科学的に捉えることが一般的になれば、治療の手がかりも見つけやすくなるでしょう。

慢性疲労だけではないミトコンドリアの重要性

ミトコンドリアの機能低下の影響は、慢性的な疲労にとどまりません。たとえば毛髪や皮膚の老化にも関係しているという研究結果も出ています。
加齢によりミトコンドリア機能が低下すると、筋肉が急速に委縮することも知られており、健康で長生きすることが求められる時代においては、ミトコンドリア機能の維持の重要性は増しています。
また、ガン組織でもミトコンドリアの機能低下が認められるケースは多く、周辺組織のガン化を促進すると考えられています。糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病にも密接に関係していると推測されますから、今後は疾患別の検討を進めていくことになるでしょう。
これらを調べる検査は日本では手軽に受けられませんが、今後も丁寧に症例を積み重ね、臨床に生かす努力が重要でしょう。

バイオロジカル検査をもっと身近に

残念ながら、「あなたの慢性疲労の原因はミトコンドリア機能の低下が原因です」と言われても、すんなり受け入れられる患者さんもまだまだ少ないはずです。
しかし当院では、有機酸尿検査などのさまざまな「バイオロジカル検査」を行うことができます。そして、私たちの提唱している「自己治癒力を高める医療」では、これらの検査結果を客観的に観測し、治療効果を評価しています。
次回は、腸内環境とミトコンドリア機能の関係について、踏み込んで解説したいと思います。

まとめ

・慢性疲労症候群を例に挙げて「ミトコンドリア機能」が、私たちの体を支える上で非常に重要な役割をしていることを説明しました。慢性疲労症状を訴える方の中には、ミトコンドリア機能の低下が原因である場合が少なくありません。

・これまではミトコンドリア機能を調べる方法がありませんでした。検査によって科学的に検証できれば、原因がわからない病態の解明に役に立つと思われます。

・「有機酸検査」は、ミトコンドリア機能を客観的に評価できる有用な検査です。検査を治療の前後で行うことで、治療効果の客観的な判断が可能になります。



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