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[コラム] 気を付けたい赤ちゃんのアトピー性皮膚炎

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赤ちゃんにできる湿疹は、2カ月以上続くとアトピー性皮膚炎と診断されることがあります。

赤ちゃんは自分で対処ができないため、かゆみで眠りが浅かったり、キゲンが悪くグズリがちになります。
しかし、湿疹にもさまざまな原因があるため、まずはアトピー性皮膚炎について知り、赤ちゃんで発症した場合はどう対処したらいいかを考えていきましょう。

アトピー性皮膚炎は大人でも原因不明

アトピー性皮膚炎とは、皮膚が炎症を起こし、強いかゆみや湿疹・かぶれなどが出る病気です。

「アトピー」とは、もとは「奇妙な」「見慣れない」という意味を持つ古代ギリシャ語「atopia」が語源となっています。
幼児期からかかることの多い病気ですが、良くなったり悪くなったりを繰り返し、なかなか治らないことが特徴です。一般的に、大人の場合はその状態が6カ月以上続くと慢性と判断します。

アトピーが慢性化すると、湿疹は体のいろいろな場所を移り歩くようになります。
例えば「顔の症状が改善したら今度はひじ・ひざの関節が悪化してきた」などと、コントロールできない奇妙な動きをしていきます。また季節によって症状が変化するのも特徴です。

そしていまだにアトピーになる原因は分かっておらず、明確な治し方も見つかっていません。
そのため皮膚科の医師もアトピーと診断したはいいものの、対症療法であるステロイド外用薬の処方による治療が中心となっています。

2カ月以上症状が続いたらアトピーと診断される

赤ちゃんの肌は敏感で、オムツかぶれや、夏場のあせもなどもできやすく、肌の調子は安定しません。
しかし医師に処方された塗り薬(おもにステロイド剤)を塗っても、2カ月以上改善が見られない場合に、その湿疹はアトピー性皮膚炎と診断されます。

赤ちゃんは自分でかゆみに対応できないため、かゆい部分をかきむしり、そこから患部が広がったり、他の感染症にかかりやすくなってしまう難点があります。
そのためスキンケアや入浴などに、大人以上に気を付けてあげる必要が出てきます。

ただし神経質になりすぎてしまってはいけません。

アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚疾患は、体内で何らかの炎症が起き、それを一生懸命に身体の外に出そうとする途中の反応でもあるからです。
そのため、新陳代謝が進むのを待つことで、いつの間にか改善するケースも多くみられます。

実際、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の半数は、乳幼児のうちに治まるともいわれています。

アトピーの症状は皮膚の問題にように思えますが、実は体内の環境が大きく関わっているのです。
大人の場合、皮膚に出る症状は、体内で正しく老廃物の処理ができていなかったり、免疫力が弱くなってしまったことによる反応の現れです。
赤ちゃんの場合も、免疫機能が安定していないと、皮膚に炎症が出やすくなる可能性があります。

アレルギーの可能性は?

アトピー性皮膚炎は、何らかのアレルゲンによって引きこされるという説もあります。

赤ちゃんの場合、「生活環境のアレルギー」と「食物アレルギー」に気を付けてあげる必要があるでしょう。
ただし、アトピーとアレルギーは、併発している患者さんが多いというだけで、必ずしも同じ病気とはいえません。

たとえばカビアレルギーで湿疹が続いていた赤ちゃんを、カビのいない環境に移したら、あっという間に改善する可能性があります。
この場合、カビアレルギーであっても、アトピーだったとはいいきれません。本当に原因不明のアトピー性皮膚炎であれば、どの環境に行っても、発症を繰り返すことが多いからです。

生活環境のアレルギー

家の中のハウスダストやダニ、カビやホコリなどに体が過剰反応してできる湿疹です。

特に、赤ちゃんが寝ている部屋の環境には、気を付けましょう。ベビーベッドにダニやホコリが多いと、アレルギーが発症しやすくなります。ぬいぐるみや布のおもちゃなども注意が必要です。

食物アレルギー

赤ちゃんの三大アレルゲンといわれるの、「卵、牛乳、小麦」。

これらを初めて食べたときに即時にアレルギー反応が出たのなら、それはアレルギーだと分かりやすいのですが、食べて問題がなくても、湿疹の元となるアレルゲンも存在します。

食物アレルギーの疑いがある場合は、専門医に診てもらいましょう。
一般的にはアレルギー検査を行い、食物除去試験(疑わしい食材を2週間ほど離乳食から除去し、湿疹が改善されるかを確かめる方法)で、赤ちゃんの肌の様子をみます。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎、治療法は?

アレルゲンのハッキリわかるアレルギーであれば、そのアレルゲンから一時的に離れ、基礎体力をつけながら様子をみる必要があります。
しかしアレルギーは発見できないけれど、慢性的な湿疹が続いているのならば、違うアプローチも必要でしょう。

アトピー性皮膚炎は根本治療が難しく、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
また個人差もあり、すべての赤ちゃんに合う治療法は確立されていません。そのため、どの方法が一番かは分かりませんが、一般的には、以下の方法で治療を進めます。

・ステロイド外用薬による治療
一般的な皮膚科でアトピーと診断された場合、ステロイド外用薬を処方されることがほとんどです。
ステロイド外用薬は炎症を押さえるためだけの薬で、根本治療にはつながりません。さらに使用が長期間に及ぶと副作用や依存性などの問題が起こることがあるため、医師の指示によって適切に塗ることが求められます。

・保湿による治療
乾燥により症状が悪化している場合は、お風呂上がりに保湿クリームや天然のオイル、漢方由来の塗り薬などの非ステロイドの塗り薬を塗ることで、症状を緩和させます。

・食事療法
食品添加物やジャンクフード・油ものを摂り過ぎることは、赤ちゃんの内臓に負担を与えます。授乳期が終わって、なかなかアトピー性皮膚炎が治らないときは、お菓子の食べ過ぎや、大人と同じ刺激物を摂り過ぎていないかにも注意しましょう。

アトピーと腸内環境との関係

アトピーは、腸内環境によって症状が変化する可能性があります。

腸の状態は免疫機能に大きな影響を与えており、腸内環境が悪いと、体内の毒素や不要物をうまく排出できなくなり、湿疹として肌に出てしまうからです。

大人でも便秘が続くと肌荒れが起きますから、まだ腸内細菌のバランスが安定していない赤ちゃんが影響を受けやすいのは、イメージしていただけるでしょう。
また、腸壁に傷がつくことで本来は漏れてはいけない物質が血中に流れ出し、アレルギーや体調不良の原因となる「リーキーガット症候群」にも注意が必要です。

塗り薬でなかなか改善しない時は、強い薬に頼るだけではなく、食事や栄養バランスを見直して、腸内環境を整えることにも目を向けてみましょう。

元気な身体をつくることが一番

最後に大切なことをお伝えします。アトピー性皮膚炎を悪化させる大きな原因に、ストレスがあります。
周囲の大人たちの焦りや、治らないことへのいら立ちなども、赤ちゃんは感じ取ってしまうため、あまり悲壮感をもって治療にあたらないようにしてください。
何より、あれこれ制限せず、食べていいものをしっかり食べさせること。また汗で悪化するのを嫌って、運動を避けがちになりますが、アトピー性皮膚炎の改善には適度な発汗と、運動による体内の活性化が大切です。

ここら辺は議論がザツい様に思います。実際に食べ物でアトピーがひどくなりますし、汗をかくことでも悪化することがあります。 

赤ちゃんの身体と肌は発展途上です。生活環境・食習慣を適切にコントロールし、赤ちゃん自体の治癒力が上がれば、成長につれてアトピー性皮膚炎は改善する可能性もあります。
おおらかな目線で、成長を見守ってあげることをおすすめします。

まとめ

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、アレルギーと混同されることもあり、また本人が自分で処置できないため、とても手がかかります。
そのためネット上にはさまざまな情報が存在しますが、原因と治療法が分からないから「アトピー」と呼ばれていることを知れば、安易な商品で治るわけがないことは明白でしょう。

視野を広く持ち、湿疹の状態に一喜一憂せず、元気に育ててあげることが一番大切なのです。



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